現場で聞いた「歩車分離」を調べたら、TNDの前身ラドバーンに。現地を見た役員に成り立ちから聞きました。
こんにちは。KYです!
今回は「ラドバーンとは何か」をS常務にお伺いしたので、ぜひご覧ください!
なぜラドバーン方式について知りたいと思ったのか
先月3Cの現場に連れて行ってもらった後、TNDの前身にあたる住宅の前にお邪魔した際に、「グリーンベルト」や「歩車分離」、「くるみの殻」など、TNDに関わるキーワードをたくさん教えて頂きました。
その中で特に気になった「歩車分離」について自分で調べようと思い、検索したところ「ラドバーン方式」という単語が出てきました。
少し調べてみると、私の地元にもラドバーン方式が使われている住宅地があると知り、興味が沸いたので、実際に現地に行ったことがあるS常務に教えていただくことになりました!
ラドバーンの歴史背景
なぜラドバーン方式が誕生したのか?
ハワードの開発したレッチワース(イギリス)のような田園都市をアメリカに導入したい!と、都市計画設計者のクラレンス・スタインとヘンリー・ライトが1928年に設計し、1929年にラドバーンの田園都市建設が着工しました。
1928年は米国の大好況時代でしたが、その翌年が世界大恐慌という、激動の時代の真っ只中の計画でした。当時のルーズベルト大統領はこのラドバーン事業を経済復興事業として実施する予定でしたが、期待通りには事業展開しなかったそうです。
ラドバーン方式はTNDの前身ではありますが、成功していない事業でした。
ラドバーンの特徴は?

KY:ラドバーン方式の特徴は3つありますが、特に代表的な特徴はどれですか?
S常務:一番の特徴は「歩車分離」です。当時、自動車が多く生産され自動車時代とも呼べる時代が到来しましたが、あくまでも「人々の歩行が優先だ」との考え方による道路計画が適用されました。子供達が登校・下校する際には一度も車と遭遇しないように設計されています。
KY:完全なる歩車分離ですね! 歩車分離の考え方が実際に適用されて目にみえる例などありますか?
S常務:ありますよ。目にみえる例といえば陸橋です。ラドバーンの象徴と言っても過言ではないものです。橋の上は車が通る道で、橋の下は歩行者の専用道路。歩行者と車を同一面上で交差させないので、歩車分離の実例といえます。
KY:他にも歩車分離を表している要素はありますか?
S常務:陸橋のほかには、セットバックやストリートスケープ、フットパスなどがあります。子供達は家からフットパスを通って学校に向かうので、車に一度も遭遇せずに登下校が可能になります。またこのフットパスは安全性の配慮だけではなく、景観の美しさにもつながっているんです。



ラドバーンの住宅はどのようなデザインなの?
ラドバーンの住宅デザインは、懐かしさを感じさせる美しいデザインだそうです。
伝統方式+材料の使い方が肝心!!
ブロックにより住宅様式を統一し、歩いていて場面が変わる楽しさを感じさせる家並みがあり、様式は一緒でも隣同士の家の形や材料の使い方が違うことにより、それぞれの家の個性が伝わってくるそうです。
KY:住宅デザインはどのようなデザインがあるのですか?
S常務:住宅デザインは多種多様で、下見板+レンガ+カラーリングの外観だったり、ハーフティンバー+レンガ+下見板、下見板+シェイク。北エリアは基本的にヴィクトリアンスタイルが多いのですが、クルドサックの1ユニットごとに個性が出ていました。特に下見板とレンガの組み合わせは、お互いの素材の良さを引き立てていますね。
KY:確かに懐かしさを感じるような温かみのある外観デザインですね! 北エリアはヴィクトリアンスタイルでしたが、南エリアは違うデザインなのですか?
S常務:南エリアはケープコッド型の住宅の家並みでした。北エリアとは住宅様式もランドスケープも全く違っていましたね。もしかしたら、こちらのエリアの開発は比較的新しいのかもしれませんね。


ラドバーンの住宅地経営は?
KY:住宅地経営において、ハワードの田園都市構想とラドバーンとの違いはなんですか?
S常務:ハワードの田園都市構想との違いは個人の土地所有(フリーホールド)であることです。ラドバーンでは土地の私有が認められ、住民の自治組織の協会が組織され、土地利用を規制しています。この住民の自治組織の協会がHOAにあたります。
KY:TNDに繋がる組織図が出来上がったわけですね。同じ視察ツアーで訪れたケントランズやレイクランズと見比べると、どのように感じましたか?
S常務:ケントランズやレイクランズを見てしまうとラドバーンの完成度は見劣りしてしまいますが、昔懐かしさ、映画「三丁目の夕日」のようなノスタルジーさがありました。
KY:ネガティブな古さではなく、ポジティブな古さは日本ではなかなかないものですね。実際のラドバーンの空気感はどうでしたか?
S常務:人が豊かに穏やかに暮らせる場所であり、時がゆっくり流れている…そんな空気を感じました。開発当時はおそらく最先端の住宅地で新しさを感じたことと想像しますが、約100年経った今、郷愁を感じさせるこの街並みは熟成された都市と言えるのだろうと思いました。
KY:そうした郷愁を感じるような素敵な住宅街で、感じたことはありますか?
S常務:私たち人間も良い歳の取り方をしたい…と思いました。住環境も良い歳の取り方をすべきで、その部分を見据えながら、これからの仕事に活かしていきたい、そう思いました。

ラドバーンとTNDの違いとは?



住宅前に車があるかないかだけでも、印象が変化しますね👀
ラドバーンについてお話を伺って…
今回、S常務が現地に視察に行った際に撮った写真やレポートとともにお話を伺って、こんな街に住めたら毎日散歩して毎日写真撮るくらい楽しいんだろうなと思いました。
また、ラドバーンは成功していない計画とはいえ、昔懐かしい夕方が映えるような温かみのある街並みだということが、写真越しでも伝わってきました。
日本とアメリカで同じラドバーン方式を採用しているにも関わらず、住宅の外観でこんなにも印象が変わるのだという驚きもありました。
今回はラドバーンを中心に少しTNDについてもお話して頂きましたが、まだまだ学ぶことは多いので、どんどん吸収していき、魅力の理解・言語化などもしていけるようになります!
気になったので、常務に聞きに行きました
現場で聞いた言葉を自分で検索して、地元に実例があると知って、現地に行ったことのある役員のところへ「教えてください」と行く。入社2年目の社員の動き方です。ボウクスでは、この距離感で役員に話を聞きにいけます。
この記事に出てくる「3C」について
3C -Cedar Creek Community- は、ボウクスが東京・田園調布で手がけた住宅地開発プロジェクトです(2024年7月竣工)。
その背景にあるのが、TND(Traditional Neighborhood Development / 伝統的近隣住区開発) という考え方です。1軒の家を建てて終わりにするのではなく、街並み、歩道、植栽、そこに住まう人どうしのつながりまでを含めて「ひとつのまち」として設計する、アメリカで育まれてきた都市計画の手法。米国メリーランド州のケントランズなどが、その代表例として知られています。
3Cは、その考え方を日本で形にした、ボウクスの最初のプロジェクトです。
▶ 3C -Cedar Creek Community- 公式サイト(別タブで開きます)
※この記事は、2023年6月に社内報「BOWCS TIMES」で公開したものを、社外向けに再編集したものです。登場する社員はイニシャル表記としています。掲載写真は当社社員が現地視察の際に撮影したものです。
